デザイン制作で「Illustrator(イラストレーター)」を使いたいけれど、月額費用や契約の縛りが気になる方も多いでしょう。

特に初心者や副業で少し使いたいという人には、完全無料または無料プランありの代替ツールで十分なことも少なくありません。

本記事では、Illustratorの特徴を簡単に押さえたうえで、「無料で使える代替ツール」の中からおすすめを用途別・比較形式で紹介します。

印刷物、ロゴ、SNS用画像、手書き風イラストなど、目的に応じて選べるようにしています。


Illustratorとは何か?代替を考える前に押さえておきたいポイント

特徴内容
ベクター形式パスやアンカーポイントを使うため、拡大縮小で劣化しない。ロゴ/看板/印刷物向き
色管理(RGB / CMYK)Web用はRGB、印刷物はCMYK対応が重要。同じ色でも見え方が変わるため代替ソフトの色対応をチェック
ファイル形式の互換性AIファイル/SVG/EPS/PDFなどの入出力互換性が作業効率に関わる
テキスト・アウトライン化・パス編集文字処理、変形、文字をパスに変える機能も重要





Illustratorを無料で使う方法

まず、合法的にIllustratorを無料で使う方法もあります。

  • 無料体験版:Adobeが提供しており、多くの場合7日間など限定期間で製品版と同等の機能が利用可能

  • 学生・教職員割引:学割価格でサブスク料が割引になるプランがある場合も。記事によって条件が異なるため確認が必要。

  • ただし、体験版後は有料になる、商用利用に制限がある、継続使用には費用がかかるなどの注意点があります。


無料代替ツール7選:特徴・メリット・デメリット

以下、Illustratorの代替として現実的に使える無料ツールを7つピックアップし、それぞれ強みと注意点を整理します。

1)Inkscape(インクスケープ)

無料・オープンソースの定番ベクターエディタ。

ロゴやアイコン、ポスターなど“拡大縮小に強い”ベクター制作に最適です。

SVGをネイティブに扱い、PDF/EPS/AI(一部)などの入出力にも対応します。

メリット: 完全無料/日本語情報・チュートリアルが豊富/パス編集やブーリアンなど基本~中級機能は十分。

注意点: ネイティブなCMYK編集が弱いため、商用印刷では「RGBで作成→PDF書き出し→Scribus等でCMYK変換」というワークフローを取るのが無難です(最新情報でも“CMYKは計画・代替策で対応”という位置付け)。

印刷案件が多い方は事前テストをおすすめします。

向いている人:無料で本格的なベクター作業をしたい/ロゴ・アイコン・図解中心/OSSが好き。


2)LibreOffice Draw

オフィススイート付属のベクター/図形ツール。 チラシや簡易ポスター、資料中の図版など“多ページ物”や“図解”を作るのが得意です。

メリット: 無料・軽快/オブジェクトの整列やレイアウトが簡単/大判(最大300cm四方)も扱える。

注意点: ベクターの精密編集や高度な印刷用色管理は専門ツールに劣ります。ロゴの微調整や緻密なパス編集はInkscapeの方が快適です。

向いている人:文書・資料系の延長で図解を作りたい/多ページの配布物を素早く整えたい。


3)Canva(キャンバ)

ブラウザで使えるテンプレート型デザインツール。 SNS画像、バナー、ポスター、プレゼンなど“短時間で見栄えよく”作れます。

メリット: 無料プランでもテンプレートやフォントが豊富/直感的で初心者にやさしい/共同編集・クラウド保存。

注意点: ベクターの細かな制御や印刷用CMYK運用は限定的。ロゴの微調整やパス操作を極める用途には不向きです。

向いている人:まずは無料で“それっぽい”成果物を速く作りたい/SNS運用・簡易販促物が中心。


4)Vectr

軽量なWebベクターエディタ。 ロゴ・アイコン・簡単な図形デザインに向き、学習コストが低いのが特徴です。

メリット: ブラウザでサクッと起動/共有しやすい/基本的なパス編集が簡単。

注意点: 複雑ドキュメントや高度機能(ブレンド、詳細なパスファインダー連携など)は弱め。本格印刷や大規模データには不向きです。

向いている人:軽いロゴ・アイコンを無料で素早く作成/入門としてベクター操作を体験。


5)Photopea(フォトピー)

Photoshop風のUIを持つブラウザ編集ツールで、ラスター中心ながらAI(Illustrator)ファイルの読み込みにも対応(“PSD的に扱う”形での編集・変換が可能)。

短時間の合成やテキスト加工、PDF/PSDとのブリッジ用途に便利です。

メリット: インストール不要/PSDの読み書きに強い/AIやSVG、PDFなど多形式を扱える。

注意点: ベクターエディタとしては限定的で、Illustratorの完全代替ではありません。広告表示が気になる場合は有料で除去可。

向いている人:配布データ(PSD/AI/PDF等)の“中身を確認・軽く手直し”したい/ブラウザだけで完結したい。


6)Krita(クリタ)

デジタルペイントに特化した無料・OSS。

手描き感のあるイラスト、漫画、コンセプトアート制作に強く、ペンタブとの相性が良好です。

メリット 高機能ブラシ/レイヤー・選択・変形などペイント向けが充実/カラーマネジメントに対応。

注意点: ベクター機能は補助的。ロゴやパス精度が命の作業はベクター特化ツールが適任です。

向いている人:イラストや漫画を無料で本格制作/線のニュアンスや塗り重視。


7)Linearity Curve(旧Vectornator)

iPad/Mac向けのベクターデザインアプリ。 タッチ操作に最適化され、モバイル環境でのアイデア出しから清書まで気持ちよく進められます。

メリット: Appleデバイスに最適化/テンプレートやモーション連携(Linearity Move)などの拡張も。

注意点: Windows非対応。印刷運用や外部とのファイル連携は事前検証がおすすめ。名称は2023年にVectornatorからLinearity Curveへリブランドされています。

向いている人:iPadでベクター作業を軽快に/外出先での下絵~仕上げを一気通貫。





用途別のおすすめツール

用途によって「これだけは押さえておきたい」ツールも変わってきます。

以下は代表例です。

用途おすすめツール
ロゴ制作・印刷物作成 → 拡大縮小しても鮮明さが必要/パス編集が細かく必要Inkscape が第一候補。次点で Vectornator(対応OSが合えば)
SNS投稿/Webバナー/簡単ポスターCanva, Vectr が手軽。テンプレートがあるとアイデアも出しやすい
手描きイラストやマンガ風作品Krita が強い
出先・モバイルでちょっと操作したい/ラフを作りたいVectornator やブラウザツール(Photopeaなど)

注意点・選ぶときの判断基準

代替ツールを使う際に失敗しないためにチェックしたい項目:

  1. 色モード(CMYK対応かどうか)
    印刷所への入稿が必要な場合、CMYKモード対応は重要。無料ツールはRGBのみのところが多いので要確認。

  2. ファイル形式の互換性
    AI → 開けるか、SVG/EPSでの入出力がどうか。既存のIllustratorユーザーとのやりとりがあるなら、この点は特に重要。

  3. 動作の軽さ・PC/モバイル環境
    CPUやメモリの余裕が少ないと、重いベクターや多数のアンカーポイントがあるデザインで処理がもたつく。ブラウザベースのものはネット環境も影響。

  4. 学習コスト
    Illustratorに慣れていると操作体系が異なるものは戸惑いやすい。まずは最も似ていそうなものから使って慣れるのがおすすめ。

  5. 商用利用の可否
    無料ツールでも商用利用ライセンスが制限されていたり、素材の利用条件があるものもあるため利用規約をチェック。

 


まとめ:まずどれを試すべきか

デザイン初心者であれば、まずは CanvaVectr のようなテンプレート+簡単操作のものから始めるのが手軽でおすすめです。

本格的にロゴや印刷物を作りたいのであれば、Inkscape が最も汎用性が高く、後々困りにくい選択になります。

モバイル作業重視なら Vectornator も検討価値あり。

「お金をかけずにまずは始めてみたい」人には代替ツールでも十分可能です。

用途・目的を明確にしたうえで、自分に合うツールを選んでみてください。





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